​SPインフォメーション

ここを読めばSPについてわかる!

​SPとは

SP(エスピー)とは、『Security Police』の略です。
要人警護のスペシャリスト集団です。狭義のSPとは、全国の警察組織の中で、警視庁のみに存在しています。スーツの襟に「SP」というイニシャルがデザインされた、「SPバッチ」を貸与されている警察官(警視庁警備部警護課所属の警察官)のことを指します。
警察内部では、それ以外の警護に従事している警察官のことをSPとは呼称しません(以下、警視庁警備部警護課のSPを警視庁SPと呼び説明します)。
ただ一般の方々の間では、専従的に警護任務に従事する警察官(道府県警察の警備警護担当者等)を含めて、SPと呼称する場合が多いようです。

ちなみに、 Security Policeを要人警護官と捉えるのは、日本だけの意味です。本来の英語での意味では、公安警察(諜報機関)となります。アメリカでは、シークレットサービス(USSS: United States Secret Servic)と呼ばれる要人警護機関が存在します。また近年では、民間の警護員(警備業:4号警備)を、民間SPと表現しても通じる場合があり、SPイコール警護というイメージが定着しつつあるといってもよいかもしれません(以下、民間警護を民間SPと呼び説明します)。

警視庁SPの発足

1964年(昭和39年)にライシャワー米国大使が東京赤坂のアメリカ大使館前で車から降りたところを、ナイフ(刃渡り約16センチメートル)で右太ももを刺され重傷を負った事件(当時の池田勇人首相はテレビで米国民向けに謝罪を述べ、国家公安委員長は辞任しました。)を契機に、翌1965年(昭和40年)警視庁に警護の専門部門である警護課が新設されました(警察の警護自体は、明治時代から総理大臣等の警護員が定められ行っていました)。

警視庁SPになるには

まず警視庁警察官であること。
身長と視力に関しては、一応の目安はありますが厳格には適用されていません。
柔道又は剣道が三段以上であり、けん銃操法が上級(けん銃操法は上級・中級・初級の三つにしか分けられていないが、上級者は警察官数十人に一人程度)。適性、体力検定(警視庁内部の検定)の上級者、勤務評定などを総合的に考慮され、所属長(警察署長・機動隊長など)が警護課員としてふさわしいと思われる者を警護課へ推薦します。
所属長が推薦といっても、実質は担当の上司(警察署であれば課長など)からの評価が重要です。

その後、警護課において書類選考を行い、選抜された者が面接を受け、さらに面接を通った者は「警護講習」という部内訓練を受けます。但し、この「警護講習」を終了したからといって、その全員が警視庁SPになれるわけではありません。
また、前記条件に該当しない者であっても、警護講習を受けていない者であっても、いわゆる「一本釣り人事」で警視庁SPとなる者もいます。

警護課の中でも、個別に担当の警護対象者を持つ警視庁SPは、「〇〇担当」(例えば、外務大臣を担当すると外務担当)と呼ばれ、このようにひとたび担当持ちのSPになると、昇任配置換え後も1~2年後には、また警護課勤務を命じられる場合が多いので、意外と警視庁SPの顔ぶれは変わっていません。担当持ちのSPは警視庁警備部警護課内の、警護第二係又は警護第四係に配属されているSPのことを意味します。
また、警視庁SP(民間SPも同様ですが)の仕事内容は決して体力勝負的なものではありませんので、50歳を過ぎても現役で続けられる職種です。

警視庁SPへの登竜門~総理大臣官邸警備隊 

警護課に転勤となった警察官は、まず総理大臣官邸の主に外周の警備を担当する総理大臣官邸警備隊(以下、官邸警備隊と呼び説明します)隊員として当分の間、勤務することになります。所属先は警護課ですが、警視庁SPのように私服勤務ではなく制服勤務です。
主たる任務は総理大臣官邸の各門に配置し出入りする人・車・荷物等のチェックです。民間警備会社でいうところの1号警備(常駐)です。総理大臣官邸外周はこの官邸警備隊と機動隊で24時間体制で警備しています。
総理大臣官邸敷地内の警備は、官邸警務官(警察官の身分ではありません)が担当しています。

警視庁SPはどのような人を護っているのか

まず警察が警護を職務執行のうちの一つとしている法的根拠についてですが、警察法→警察法施行令→警護要則→警護細則となります。
そして警護要則の第2条で、警護対象者とは、
①内閣総理大臣
②国賓
③その他警察庁長官が定める者
となっています。更に警護細則第1条で警察庁長官が定める警護対象者として、
④衆議院議長・参議院議長
⑤最高裁判所長官
⑥国務大臣
⑦公賓・公式実務訪問賓客
⑧その他警察庁警備局長が定める者(元総理・政党代表者・在日大使等、これらを「指定要人」と規定されています)
となっています。

上記のとおり警視庁SPが護る警護対象者は、全て法律(又はそれに準ずるもの)上の規定に従っているのです。

従いまして、ある一定時期は警視庁SPによって警護されていたけれども、現在は民間SPが警護をしている(上記、警視庁SPの警護対象の指定外となったため)というような警護対象者もいます。

警視庁警備部警護課ガイド

警視庁本部の16階が警備部のフロアになっていて、その一番奥に警護課室があります。
課長(警視正)・理事官(警視)・管理官(警視)までの管理職に、係長・主査(警部)、主任(警部補)、係員(巡査部長・巡査長及び巡査)の二百数十名で構成されています。
警護課内の係※1として、
・警護管理係(庶務・機動警護など)
・警護第一係(総理大臣の身辺警護)
・警護第二係(衆参議長及び副議長・最高裁長官・国務大臣の身辺警護)
・警護第三係(国賓・公賓・公式実務訪問賓客・一部の在日大使の身辺警護)
・警護第四係(政党代表者や与党の一部役員・総理大臣経験者・都知事等の身辺警護)※2
があります。
※1)総理大臣官邸警備隊は身辺警護要員ではないため、ここでは構成外にしています。
※2)公人以外の警護対象者は非公開としています。経団連会長は警視庁SPによって警護されていた(いる)などの情報は目にするところですが、まだまだ公人以外でも警視庁SPの警護対象に指定されていた(いる)例はいくつもあります。例えば過去、新東京国際空港公団(現在は存在していません)の総裁等が警視庁SPの警護対象になっていたということは、ほとんど知られていません。このような警護対象者の担当は、通常は警護第四係となります。

警視庁SPは前述のとおり、警護対象者が法律等によって決まっています。それ以外の警護を必要とする方々は、全て民間SPが担当しているのです(政治家・企業経営者・国内外アーティスト・著名人・スポーツ選手・ストーカー被害者などその対象は極めて幅広い)。

警視庁SPも民間SPも、基本的には警護対象者が自宅を出発するところから帰宅するまでの間、その身辺の安全を護ることが第一の任務ですが、いずれのSPも身体の安全のみを護っていれば良いわけではありません。警護活動とは、警護対象者の生命・身体・財産をはじめ、名誉や地位、そして時には信用をも護らなければならない仕事なのです。警護対象者が自身の身の安全を心配することなく仕事ができる(総理・社長などが必要な決断ができる)、何らかのトラブルに巻き込まれた方が身の危険を心配することなく生活ができる、という環境を作り出すことが官民SPの仕事です。従って、ただ大柄で腕力に自信がある、だけでは身辺警護員としては不十分と言わざるを得ません。

道府県警察の警護担当者

警視庁以外の道府県警察も警護活動を行う場合があります。道府県警察の警護担当警察官は、警視庁警備部警護課に派遣され1年間の研修を積んだ警察官が指定されている場合が多いです。派遣中の1年間、朝から晩まで警護について様々な教育訓練を受けさらに実際の警護現場へ出動もします。このような道府県警察から派遣され警護を学んでいる警察官を警視庁警備部警護課内では研修生と呼んでいます。
この1年間の警護研修を終えた警察官が各道府県に配属されているので、警護対象者が東京都以外で活動する場合は、そういった道府県警察官と警視庁SPが協力し警護対象者の安全確保に努めています。
道府県警察本部に警備部警備課という部署がありこの警備課内に警護係という係がある場合が多いです。ちなみに警視庁以外の警護に従事している警察官を警察内部では、本部の警備課警護係とか、単に警護専務員・警護要員・警護員などと呼ぶのが一般的です。

暴力団対策版SPの「PO」 

2011年12月に警察庁次長より各都道府県警察の長へ、①暴力団等による犯罪の被害者その他の関係者②暴力団排除活動関係者③暴力団との取引、交際その他の関係の遮断を図る企業等の関係者④暴力団から離脱した者又はその意志を有する者、等のうち暴力団から危害を受けるおそれのある人を「保護対象者」に指定し、その保護対象者を警護する警察官の「身辺警戒員」を指定するよう通達が発せられました。

この「身辺警戒員」を「PO」と言います(Protection Officer)。
SPとPO。所属する部門が異なるだけで「人を護る」という職務の本旨は同じです。