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警察の警護事情

こんにちは。


今回はプチシリーズの第一回目として「警察の警護事情」についてお話します。

第二回目は「民間の警護事情

第三回目に「日本警護の喫緊の課題

の予定です。


最初に申し上げておきますが、現在流通している警護情報で100%本当のことというものに、なかなかお目にかかれません。仕事柄、警護関連情報をチェックするのですが、必ずと言っていいほどどこかしら間違っている・事実と異なるものばかりです。これは単に個人がネットに上げているものだけではなく、マスメディアの発しているものも含んでの話です。


そこで本学は日本初の警護専門教育機関として、本当の警護情報を皆さんに知って頂きたいと思いこの度のプチシリーズを発します。


では第一回目の「警察の警護事情」についてです。

皆さんは警察官なら全員が警護出来て当たり前!と思っていませんか?

答えは、大間違いになります。

警察官の手帳

警察官でも警護をそれなりのレベルで知っている人・出来る人ってごく一部です。

全国26万人以上いる警察官に対し、千人いるかいないかといった程度です。


そのごく一部とは誰か…というと警視庁警備部警護課(通称SP)とそのOB、それと極稀にしか存在しませんが毎日のように警護に従事している警察官(千葉県知事の警護担当の千葉県警警察官など)の方々です。

SPは身辺警護を専門としている部署ですから、正真正銘警護のプロです。

※ SPを詳しく知りたい方はSPインフォメーションをご覧ください。


大きな規模の警護になると、警視庁では警護課と同じ警備部内の機動隊や特殊部隊(SAT)なども警護に加わりますが、機動隊やSATはSPが行う身辺警護には従事せず、警護対象者から離れた場所で安全確保に努めています。SPが行う身辺警護は警護対象者の直近において不審者等が接近してこないように警戒したり、有事の際には警護対象者を安全な場所へ避難させる役割を担っています。

警視庁警備部警護課(SP)

警察には、交番の警察官、刑事、交通、公安などの部署がありますが、これらに配属されている警察官は警護に関しては専門外で、警護に関しては一般の方々と大差ありません。


安倍元総理の襲撃事件後に、なんであれが護れないんだ?警察は護る気がないのか?といった批判がありました。確かに警察の警護事情を知らない一般の方々からすれば当然の指摘だと思いますが、あの結果は、当たり前の結果であったと見ることもできるのです。


それはつまり、事件後に警護計画が…とか、資機材が…とか、検証結果を公表しておりますが、警護の知識・技術が不十分(経験不足という点は、警護対象者が管轄内に来ない以上は仕方ないと思います)であるということを知っていながら、それを補うための教育訓練も不十分のまま警護に従事させ続けていた警察組織の姿勢にこそ最大の問題があったのだと考えずにはいられないからです。


警視庁のSPも1人あの襲撃現場におりましたが、1人では警護はできませんし、するものでもありません。警察は今まで警護の専門的な知識、技術を持っていない警察官を現場に出していました

安倍元総理の襲撃現場の警護員については分かりませんが、それ以外のこれまでの警護の中には警護教育訓練をほぼ受けさせずに警護現場へ出動させてしまっている現場もあります。この点は次回の「民間の警護事情」と酷似しています。


しかし、警察組織は安倍元総理の事件を機に警護に従事させる警察官には、警護の教育訓練を行っていくと見直しをしました。訓練を受けた警察官のみを警護現場へ出すと改めました(今までが異常事態だったのですが)。

ただ、いくら警察と言っても警護知識と技術を身に付けるには、これからかなり時間はかかると思います。しかし本来失敗の許されない分野であり、警護の失敗の結果の重大性を考えれば、育てていくしかありません。


今、警察組織内において唯一の警護専門官である警視庁のSPが手分けして全国を回って警護の指導をしています。また以前から行っていた各道府県警が警視庁の警護課へ警察官を派遣して警護を一年間学ばせるという研修も人数を倍増しています(といっても年に20人程度増えるだけです。警護員を一度に大量生産することは警察でも現実的ではありません。それだけなかなか育てられないのが身辺警護員ということです)。


では、民間の警護員(ボディガード)はどうなのでしょうか?

それは次回の「民間の警護事情」にてお話いたします。


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